
平成20年3月29日・30 日の2日間、「全国発酵食品サミットin 横手」が秋田ふるさと村を会場に開催されました。
今回のサミットは、「発酵」と「食文化」をキーワードとして開催される全国初の試みでした。会場では、「発酵」「食文化」研究におけるスペシャリストをお迎えしての講演会をはじめ、全国発酵食品物産展、交流会、酒蔵見学会など様々な催し物が開催されました。
講演会においては、2日間800席がほぼ常時満員の状態で、会場全体においては延べ15,000人の来場者を迎えることができました。
開催日初日は、横手の伝統芸能をテーマとしたオープニングセレモニーで開幕し、横手市長五十嵐忠悦による主催者挨拶、よこて発酵文化研究所所長谷金彌による開会宣言が行われました。
開会式直後のトークショーでは、俳優の永島敏行氏、ジュニアベジタブル&フルーツマイスターの王理恵氏、地元の上畑温泉さわらび総料理長(当時)山本省三氏をお迎えし、身近にある発酵食品をテーマに会場を沸かせました。その後は国立民族学博物館名誉教授石毛直道氏の「発酵の文化圏」をテーマとした記念講演、宮城大学教授鈴木建夫氏の「食と健康~国民の盛衰は食べ方にあり~」をテーマとした講演が行われ、来場者の方々も真剣な眼差しで各権威の話を聴講していました。
この日は、横手セントラルホテルを会場に交流会も行われ、秋田の民謡や酒の仕込み歌が披露される中、全国より参加された各業種の方々が交流を深められました。
2日目は、今回のサミットの仕掛け人でよこて発酵文化研究所顧問でもある東京農業大学教授小泉武夫氏による「発酵と人類の知恵」をテーマとした基調講演が行われ、続いて東京海洋大学名誉教授藤井建夫氏の「魚の発酵食品」をテーマとした講演が行われました。
その後、全国の発酵食品産業に関わられている関係者をお招きしたパネルディスカッションが行われ、小泉武夫氏をコーディネーターに伝統食の継承等をテーマに議論が交わされました。
サミットの最後には、発足当時から商品の研究開発を特に取り組んでこられた会員22名の表彰が行われた後、横手市長五十嵐忠悦がサミット宣言を高らかに読み上げ大盛況のうちに閉幕しました。
本サミットの開催を契機に全国の伝統食産業の振興及び伝統食文化の浸透が活性化されることが期待されます。


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発酵料理トークショーでは、十文字地域で米作りを行うなど、横手市と交流のある俳優の永島敏行さん、スポーツキャスターやコメンテーターとして活躍するかたわら、ジュニアベジタブル&フルーツマイスターの資格を持つ王理恵さん、そして地元からは、上畑温泉さわらびの総料理長、山本省三さんが出演し、司会は横手市出身のNHKキャスター、臼井昭子さんが担当しました。
永島さんは「毎日食べて飽きないのが漬物。秋田は漬物の宝庫。発酵文化は秋田に根付き、秋田の食文化を支えている」と、交流を通しての感想を率直に話していました。
「秋田ベジフル大使」でもある王さんは「野菜は意識するとしないでは摂取する量が全く違ってくる。味噌と野菜は相性が良いので、みそ汁に冷蔵庫の野菜をたくさん入れては」とアドバイス。
山本さんは「料理人から見て、発酵食品は地域に根付いたもので、伝えていきたい伝統の一つ。地元の食材を見つめ直し、発酵食品を取り入れていけば料理の幅は大きく広がる」と料理人ならではの観点から指摘。この日に合わせて作ったという、鶏肉のぬか漬けやハタハタのひしおづけなどを披露し、秋田の発酵食品について語り合いました。
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発酵食品は文化の違いで食品とも腐敗ともなりうる。ヨーロッパにもアンチョビなどの発酵食品があるが、魚の発酵食品を食べる習慣はほとんどない。国内でも納豆については関東と関西で好き好きがわかれる。なぜなら発酵食品にはくせやにおいがあり、文化によって受け取り方が違ってくるから。ヨーロッパで最も日常的な発酵は、パンやチーズ、ヨーグルトなど。一方、東アジアでは漬物や醤油が発展。特に日本は発酵の技術が発展しており、食品から薬品まである。まさに「発酵食品は人類を救う」といえる。

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日本では古来、食は仏法にも繋がり、作法として学ぶものでもあった。しかし、日本人の食生活はここ数十年で劇的に変化。それが人の味覚にも影響を与えており、微妙な味加減がわからなくなってきている。これからは、遺伝子組み換え食品の普及なども考えられる時代。消費者自身が食品の安全性を見極める力が必要になってくる。現在、全食品の25%が廃棄と言われるが、塩分の多い今の食品を安易に肥料化しようというのは適策ではない。リスクのつきまとわない食品はもはやない。

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発酵とはマジックのように見えない微生物によって引き起こされるもの。見えないからこそ、より魅力的に感じる。そもそも、食とは人類の遺産であり、一度消えた食文化はなかなか復活しない。だからこそ、地域に隠れた食材・加工方法を伝えていくことが大切だ。日本には、酒、味噌、醤油、米酢、みりん、鰹節など発酵食品が数多く存在する。それには湿度が高くカビが繁殖しやすいという日本の気候が関係している。日本では発酵をいかして爆薬作りをしていた時代もあるという、まさに世界で類を見ない多様性を持った発酵の文化といえる。

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水産物は漁獲時期が限定されており、鮮度低下が起こりやすいために発酵食品ができた。発酵とは、微生物が糖に付きアルコール等を作るために起こるもので、人が好ましく思うかどうかで発酵か腐敗かが決まる。食生活や嗜好、味付けの変化、簡易製法の普及、利益重視の流通などが広がる現代において、今にわかに伝統食品が注目されるようになってきた。伝統食品とは先人たちの知恵、いわば「知恵の詰まった玉手箱」である。伝統食品を伝承していくことは、その土地の知恵を伝承することであり、食育にもつながっていくものだと思う。

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安藤:150年前から角館で味噌と醤油をつくっている。伝統的な商品の見直しも必要だが、商売人にとっては売ることが大事。伝統食品をいかしながらも、一般の人が食べやすい商品を開発している。
庄司:今、日本酒の業界はたいへん苦戦している。食生活の多様化、若者の清酒離れなどが要因と考えられる。現在は清酒を軸に発展的な商品づくりに挑戦している。
小泉:今、食生活が大きく変化している。味覚にもその影響はでてきているのだろうか。
長沼:油を使った料理が多くなり、その強い刺激で味覚が鈍くなってきているようだ。幼い時の食生活は、その人に大きな影響を与える。できるだけ小さいうちから本物を教えることが大事だと思う。
小泉:私もそう思う。その経験はその後の人生の豊かさを決める。発酵食品や伝統商品はその意味で本物だと思う。
徳山:滋賀県でフナずしを作っているが、地元の伝統料理でありながら、においのきつさから若い人に敬遠されがち。フナずしの魅力を知ってもらうため、若い料理人の前で作る機会を増やしている。
荒木:ふぐの卵巣のぬか漬けを作っている。発酵についての情報発信が大事だと思う。
小泉:そもそも食育とは大人に対してか、それとも子供に対して行うものなのだろうか。
長沼:私自身はまずは子どもからと考えている。しかし、その子どもを育てるのは大人であり、地域との連携が大事だと思う。消費者と生産者との交流も大切。みな一丸となって食育に向かわなければ。こういう機会を増やしてその意識向上を目指していきたい。
小泉:聞くだけでなく実践してみるのが大事。地元のためにも頑張ってほしい。














